三毒

三毒(貪・瞋・癡)、六道を輪廻する

六道輪廻

 

苦しみや悲しみ、怒りや憎しみによってこれまで見えていた世界が一変することがあります。

 

まるで深い森の中に迷い込んでしまったように。

 

仏教では、私たちの心の迷いの元凶を「三毒」(さんどく)であらわします。

 

三毒(さんどく)とは、貪・瞋・癡(とん・しん・ち)のことです。 最も克服すべき根本的な三つの煩悩をいいます。

 

貪は欲望にまかせて執着しむさぼること。瞋は思い通りにならないことに対する怒り。痴は物事の道理に暗く、それゆえ妄念によって迷い苦しむ無明(むみょう)のことです。

 

また人の善心を害する3種の煩悩ということで「三不善根」とも呼ばれています。

貪:とん
(貪欲:とんよく)

欲深く物をほしがること、際限なくほしがること

瞋:しん
(瞋恚:しんに)

自己中心的な心で、怒ること、憎しむこと

癡:ち
(愚癡:ぐち)

物事の道理に暗く実体のないものを真実のように思いこむこと

 

三毒は梵語で「トリヴィシャ」といいます。人間の諸々の苦しみの根源です。また、貪・瞋・癡は、誰の心の中にも存在します。最古の経典と推定される南伝パーリ語のスッタニパータにも、貪・瞋・癡を克服すべきことがいかに大切か述べられています。

 

仏教の世界では、生きとし生けるものすべては三世「過去世」(かこぜ)、「現世」(げんせ)、「来世」(らいせ)の三つの世を生死流転(しょうじるてん)すると考えられています。そして、「いのち」(魂)は生と死を繰り返しながら、六道(地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天上界)を次々と巡り続けるとされています。

 

たとえ「死」(肉体の終わり)を迎えたとしても(現世から来世へ)、魂として存在し続け、死んだ後の世界(来世)においてもまた六道を巡り続けるとされています。

 

私たちが「現世」(この瞬間)にすべきことは何でしょうか。

 

快楽だけに溺れ、不平や不満を言ったり、他人を批判したり、騙したり、欺いたり、傷つけたりすることでしょうか。

 

なぜ、私たちは健康を害して病気になるのか、なぜ、金運に恵まれお金持ちになる人がいる一方で貧困に苦しみ人たちがいる。

 

なぜ、嫌な人間と巡り会うのか、人間関係のトラブルを引き起こし、争い事が起きてしまうのか。

 

仏教では、それらすべての苦しみ(四苦八苦)には、原因があると因果を説きます。そして、すべての苦しみ(四苦八苦)からの解脱(げだつ)される道も同時に説いてくれています。

 

つまり、ブッダの教えをもとにブッダ(目覚めた者の意味)に成る道、それは、本来の自分らしい生き方を発見し、少しでもブッダに近づけるように努力(精進)することなのです。

 

具体的には、①苦しみや悲しみから逃げ出さず、誤魔化さずにしっかりと向き合い、②その本質や正体を知り、③その解決方法や解決策を探し出し、実際に行動し努力し実践していきます。

 

何よりも大切なことは、日々少しずつ積み重ねる努力、精進するその過程なのです。

 

希望の光、明るい未来は私たちと共にいつもあります。

 

2023年度天宮光啓「やさしい仏教講座」年間スケジュール

 

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